債務整理の方法

債務整理の種類

債務整理の種類

債務整理の方法には、主に次に掲げる方法があります。

債務整理の方法は、取引履歴などの資料により利息制限法での再計算を行い、法律上も支払わなければならない債務の額や、法律上は返してもらうべき過払い金の額、依頼者の収入や資産、家計収支の状況などにより決定します。
なお、債務整理の方法の選択は個々の事情や状況により 向き不向きがあり、また、手続を行う裁判所により運用が異なるので、詳しくは当事務所へご相談ください。

債務の額が月収などから判断して返済が可能な場合【任意整理】

各債権者との間で債務の額と返済方法(月の支払額や返済回数)を交渉する。

過払い金が発生している場合【過払い金返還】

貸金業者に対して過払い金の返還請求を行う。

債務の額が月収などから判断して返済が困難な場合【個人再生】【自己破産】

債務の額をカットすれば返済が見込める場合は個人再生。全く返済の見込みが立たない場合は自己破産。

任意整理

任意整理

裁判手続によらず、依頼者に代わって司法書士が債権者と直接交渉して、債務の額や月々の支払額や返済回数などを決める 方法です。
貸金業者との間で利息制限法を超えた利率での返済を続けている 場合には、利息制限法を超える利息を元本に充てることで債務の額を減らすことができます。
また、利息や遅延損害金、将来の利息を免除してもらう場合もあり、依頼者の支払能力に応じた返済金額や返済回数での返済を続けることができます。

MERIT メリット

» 毎月の返済額の減額、利息・損害金のカットなど、返済がしやすくなる。
» 簡便で早期の解決ができる。
» 過払い金を他の債務の返済に充てられる。
» 債権者を選ぶことができる。
» 自己破産による免責不許可事由や資格喪失を考慮しなくてよい。
DEMERIT デメリット

» 支払総額を、利息制限法による金額まで縮減することはできるが、それ以上の減額は困難な場合が多い。
» 支払期間が3~5年と長期となるので、その間に支払いが困難となることがある。

過払い金返還

例えば、契約書の利息が年29.2%で50万円の枠内で貸し借りを続けてきた場合、利息制限法により年18%を超える利息の部分(11.2%の部分)は元本に充当することができます。

過払い金返還

貸金業者との取引を長期間続けてきた場合には、この超過利息部分が債務に充当されることによって、ある時点で債務の額が0円となり、それ以降の返済は過払い金(払いすぎ)として積み重なっていることが あります。
この過払い金(不当利得)は 貸金業者に対して返還請求することができます。

消費者金融や信販会社のキャッシングに関しては、法律(利息制限法)で定められた利率により、これまでの取引を再計算し直すことで、多くの場合に債務の額が減少します。
※ケースによっては既に支払った利息分が戻ってくることもあります。

個人再生

民事再生の個人版(小規模個人再生・給与所得者等再生の特則)で、サラリーマンや公務員、小規模の個人事業者など、将来にわたって、ある程度定期的な収入が見込まれる債務者(無担保の負債額が5,000万円以内)が利用できます。
裁判所に申立てを行い、原則3年間(から5年間)に一定の金額(法定の計算方法により算出された500万円以内の額)を支払う内容の返済計画の認可を受けて、その返済計画による支払いを行い、その余りの債務の免除を受けるという手続です。
住宅ローンがある場合には、一定の要件(居住用である、住宅ローンの抵当権しか設定されていない他)を満たせば、住宅ローンの元利金・損害金の返済を続ける一方、抵当権の実行をしない(住宅を維持できる)という、住宅ローン特別条項を利用できます。

MERIT メリット

» 元金もカットでき、返済総額をおよそ支払可能な金額まで減額できる。
» 住宅ローン特別条項が使えれば、住宅を維持しながら他の債務を減らすことができる。
» 自己破産による免責不許可事由や資格喪失を考慮しなくてよい。
DEMERIT デメリット

» 安定した収入を得ていることが明らかにできないと利用できない。
» 債権者を選ぶことはできない。
» 支払期間が3~5年と長期となるので、その間に支払いが困難となることがある。
» クレジットで購入した物などは引き揚げられることがある。

自己破産

支払いの見込みが全くない場合に、裁判所に申立てを行います。
現在の収入や資産では支払いができないと裁判所が認めれば、破産の開始決定がなされます。

債権者へ配当するべき財産がないケース(多くのケースが当てはまります)では、破産手続を開始と同時に終了させ債権者への配当を行わない簡易な手続となります。(同時廃止事件)

債務者に一定以上の価値のある財産があるケースでは、破産管財人による財産の換価処分と債権者への配当がなされ、破産手続が終了します。(管財事件)

破産手続が終了した後は、免責手続に移行し、浪費、ギャンブルによる債務の過大負担・著しい資産の減少、虚偽申告などの一定の免責不許可の事由がない限り、原則免責決定がなされます。
免責決定により支払義務を免除してもらい、経済的に再スタートをします。

MERIT メリット

» 税金など一定の債務を除く全ての債務の免除が得られる。
» 手続は簡便化しているので、わりと早期に解決ができる。
» 将来の返済を心配する必要がない。
» 99万円程度まで資産を保有できる場合がある。
DEMERIT デメリット

» 住宅など一定の価値以上の資産は処分する必要がある。
» 会社役員、警備員、保険外交員など法定の資格喪失事由に当たる場合がある。
» クレジットで購入した物などは引き揚げられることがある。
» 7年間に2度の免責決定は原則受けられない。